保護者向け・コラム(豆知識)

【全国学力・学習状況調査2026をどう授業に生かすか】国語・数学・英語の課題と塾で行う具体策

 

こんにちは、完全個別指導塾オールウェイズです。

8月3日、文部科学省と国立教育政策研究所から、令和8年度「全国学力・学習状況調査」の全国データに基づく分析結果が公表されました。

今回の調査は、小学6年生と中学3年生を対象に、小学校では国語と算数、中学校では国語・数学・英語について実施されています。

全国平均などは7月16日に公表され、8月3日に詳しい分析結果、都道府県・指定都市別の分析は秋頃に公表される予定です。

 

今回の結果を読んで、率直に感じたことがあります。

それは、国語・数学・英語で別々の課題が挙げられているように見えて、根っこの部分ではかなりつながっているということです。

知識を覚えているかどうかだけではありません。

根拠をもとに考えること。

分かっていることを使うこと。

自分の考えを、理由と一緒に説明すること。

こうした力に、共通した課題が見えています。

 

全国平均だけを見ても、本当の課題は分からない

今回の全国平均は、次のように公表されています。

  • 小学校国語:平均正答率61.1%
  • 小学校算数:平均正答率56.6%
  • 中学校国語:平均正答率64.2%
  • 中学校数学:平均正答率57.4%

 

中学校英語は全面的にコンピューターを使った調査となり、「聞く・読む・書く・話す」の4技能をまとめたIRTスコアで示されています。

ただ、平均正答率だけを見て、「今年の子どもはできている」「全国的に学力が落ちている」と簡単に結論づけることはできません。

大切なのは、どのような問題で、どのような間違いが多かったのかを見ることです。

そこを確認すると、今後の授業で何を変えるべきかが見えてきます。

 

国語の課題は「自分の意見を書くこと」だけではない

小学校国語では、文章の一部を引用し、その内容を根拠として自分の考えを書く問題の正答率が33.6%でした。

本文を引用できても、引用した内容と自分の考えとの関係を明確に書けなかった児童が見られたと分析されています。

中学校国語でも、文章を読んで理解したことに基づき、自分の考えを確かなものにする問題の正答率は39.3%でした。本文の言葉を使いながら、考えの根拠を説明することに課題が見られています。

 

ここで注意したいのは、単に「自分の意見を書けない」という話ではないことです。

感想だけなら書ける生徒はいます。

「私はよいと思いました」

「とても分かりやすかったです」

「主人公はすごいと思います」

しかし、それだけでは、なぜそう考えたのかが伝わりません。

必要なのは、本文のどこを読んで、どのように考えたのかをつなげて書くことです。

つまり、国語で必要なのは自由な感想ではなく、

根拠と考えを区別し、つなげて説明する力です。

 

数学は公式を覚えても、意味がつながっていない

小学校算数では、基準量・比較量・割合の関係を正しく表した図を選ぶ問題の正答率が34.5%でした。

「1.5倍」という意味を、元の量より1.5目盛り分多いことだと誤って捉えている児童も見られました。

中学校数学では、2直線が平行になるための条件を理解し、根拠となる二つの角を選ぶ問題の正答率が49.6%でした。角の位置関係と、平行になる条件を結びつけることに課題が見られています。

これも、公式を知らないだけではありません。

割合であれば、「割合=比べる量÷もとにする量」という公式を覚えている生徒は多くいます。

 

しかし、

  • 何を基準にしているのか
  • どちらが比べる量なのか
  • 1.5倍は、元の量と比べてどのくらいなのか

が整理できていなければ、少し問題の形が変わるだけで使えなくなります。

図形も同じです。

錯角や同位角という言葉を覚えていても、図の中から対応する角を見つけられなければ、証明や説明にはつながりません。

今回の結果から見えるのは、計算や用語の暗記だけでなく、その知識が何を意味し、どの場面で使えるのかを結びつける必要があるということです。

 

英語は「言いたいこと」から先へ進めていない

中学校英語では、自分の考えを書くことはできても、その理由を書くことに課題が見られました。

インターネットの利用について読んだうえで、自分の考えと理由を英語で書く問題の正答率は28.4%でした。

また、留学生と一緒にしたいことを英語で話す問題でも、したいことは言えていても、その理由まで話せていない生徒が見られています。

たとえば、I want to play tennis.までは言える。

しかし、because it is fun.まで続けられない。

 

これは、becauseという単語を知らないだけとは限りません。

日本語でも、「なぜテニスをしたいの?」と聞かれたときに、理由を整理して答える経験が少なければ、英語でも言えません。

 

つまり、英作文や英会話の課題に見えて、実際には、自分の考えを整理し、相手に伝わるよう理由を加える力の課題でもあります。

国語で求められていることと、かなり似ています。

 

3教科に共通するのは「根拠まで説明する力」

今回の結果を教科別に見ると、国語では、文章を根拠にして考えを書く。

数学では、答えや判断の根拠を、図や性質を使って説明する。

英語では、自分の考えに理由を加えて伝える。という課題が示されています。

 

教科は違いますが、共通しているのは、答えだけでなく、なぜそうなるのかを説明する力です。

これは、普段の授業でもよく感じます。

数学で正解していても、「どうしてこの式にしたの?」と聞くと説明できない。

国語の選択問題で正解していても、「本文のどこが根拠?」と聞くと見つけられない。

英作文が合っていても、例文をそのまま当てはめただけで、自分で語順を組み立てたわけではない。

正解したことと、理解していることは同じではありません。

今回の調査は、そこをかなりはっきり示していると感じました。

 

分析だけで終われば、来年も同じ話になる

全国学力・学習状況調査は、全国の状況を把握し、教育施策や授業改善につなげることを目的に実施されています。

公表資料には、何も対策が書かれていないわけではありません。

国語では、考えと根拠を区別して表現すること。

算数・数学では、図を使って量の関係を捉えたり、具体的な活用場面を通して理解を深めたりすること。

英語では、考えを書いたり話したりするときに、理由を示すこと。

こうした指導上のポイントが示されています。

さらに文部科学省は、授業アイデア例の公表、教育委員会や学校への説明、指導助言、デジタル技術を使った改善、AIを活用した英語教育の実証などを挙げています。

ですから、「分析だけで、何も考えていない」とまでは言えません。

ただ、私はまだ足りないと思っています。

「根拠を示すことが重要です」

「図を使って理解を深めることが必要です」

「理由を話す活動を増やしましょう」

ここまでは分かります。

 

では、実際の教室で、

  • どの生徒に
  • どの問題を使い
  • どの順番で教え
  • どこまでできたら理解したと判断し
  • できなかった場合はどこまで戻るのか

そこまで具体化しなければ、結果は変わりません。

毎年、課題を公表する。

ニュースで正答率が紹介される。

学校や教育委員会が資料を読む。

それだけで終われば、翌年も似た課題が並びます。

調査の本当の価値は、分析資料の厚さではありません。

翌日の授業が、どう変わったかで決まると思います。

 

オールウェイズでは国語をこう変える

オールウェイズでは、国語の読解を「何となく読む」だけで終わらせません。

文章を読むときには、

  • 主語と述語は何か
  • 指示語は何を指しているか
  • 接続詞の前後はどのような関係か
  • 筆者の主張はどこか
  • その主張を支える根拠はどこか
  • 事実と意見はどこで分かれるか

を確認します。

 

記述問題では、いきなり文章を書かせるのではなく、

  1. 問いが何を求めているか確認する
  2. 本文から根拠となる言葉を探す
  3. 根拠と自分の考えを分ける
  4. 接続する言葉を使ってつなげる
  5. 条件に合っているか見直す

という順番で進めます。

 

特に大切にしたいのが、「そう思った理由は、本文のどこにある?」と問い続けることです。

正解か不正解かだけではなく、答えを支える場所を自分で示してもらいます。

これは国語のためだけではありません。

社会の記述、理科の考察、英作文、面接、自己表現にもつながります。

 

数学では「公式の前に意味」を確認する

数学では、解き方を教える前に、その式が何を表しているのかを確認します。

割合であれば、公式へ数字を当てはめる前に、図を書きます。

どれを1と見るのか。
何と何を比べているのか。
答えは元の量より大きくなるのか、小さくなるのか。

図形であれば、角の名前を覚えるだけでなく、「なぜ、この二つの角を見るのか」「この条件が成り立つと、何を言えるのか」を説明してもらいます。

 

先日、中学3年生の夏期講習で扱った等式の変形も同じです。

単に、「両辺に同じ数を足してよい」と覚えるのではありません。

等式とは左右が同じ値を表すこと。

両辺に同じ操作をすると、その関係が保たれること。

0で割れないこと。

値の分からない文字は0かもしれないため、勝手に文字で割ると解を失う可能性があること。

ここまで意味を確認したうえで、二次方程式へつなげます。

公式をたくさん覚えさせるよりも、なぜその操作が成り立つのかを説明できる状態を目指します。

 

英語では「一文書けた」で終わらせない

英語では、文法問題が解けることと、自分の考えを表現できることを分けて考えます。

まずは基本の語順を整えます。

主語の次に何を置くのか。

be動詞と一般動詞はどう違うのか。

疑問文や否定文では何が動くのか。

この土台が曖昧なまま、「自由に英作文を書きましょう」と言っても難しいからです。

そのうえで、短い形から練習します。

 

I like summer.で終わらず、I like summer because I can swim.まで書く。

 

さらに、

「ほかの理由はある?」

「相手に伝わる順番になっている?」

「同じ内容を見ずに言える?」

と進めます。

最初から長文を書かせる必要はありません。

考え+理由という小さな単位を何度も練習し、それを少しずつ長くしていきます。

 

できない原因まで戻らなければ改善しない

全国調査では、多くの生徒に共通する課題が示されます。

しかし、同じ問題を間違えていても、原因は一人ひとり違います。

国語の記述が書けない原因が、文章を読めていないことなのか。

根拠は見つけられるが、文にまとめられないことなのか。

設問の条件を読み落としていることなのか。

数学で割合を間違える原因が、公式を忘れていることなのか。

小数や分数の計算が不安定なのか。

「何を基準にするか」が分かっていないのか。

英作文ができない原因が、単語不足なのか。

語順なのか。

そもそも日本語でも理由を思いつけないことなのか。

原因によって、必要な指導は違います。

 

そこで、オールウェイズでは数学・英語の学習ロードマップも使いながら、

現在の問題
→必要な前提知識
→つまずいた場所
→戻る単元
→現在の問題へ戻る

という流れを見えるようにしています。

同じプリントを全員に配って終わりではありません。

その生徒が止まっている場所まで戻らなければ、課題は解決しません。

 

解説を聞いた後に、必ずもう一度確かめる

授業で説明すると、「分かった」と答える生徒は多くいます。

しかし、その場で納得したことと、自分でできることは別です。

そのため、説明後には、

  • 何も見ずにもう一度解く
  • 別の数字に変えた問題を解く
  • なぜそうなるかを説明する
  • 数日後にもう一度確認する

という段階を入れます。

全国調査で問われているのは、覚えた直後に同じ問題を解けるかだけではありません。

知識を別の場面で使えるか。

自分の言葉で説明できるか。

複数の情報を組み合わせて考えられるか。

だから、塾の授業も、説明して終わりではなく、再現できるかを確かめて終わりにする必要があります。

 

ICTやAIも「使ったか」ではなく「何に使ったか」

質問調査では、ICT機器の活用に自信がある児童生徒ほど、各教科の正答率や英語のスコアが高い傾向が見られました。

一方で、SNSや動画視聴の時間が長い児童生徒ほど、正答率やスコアが低い傾向も示されています。

 

ただし、これは相関関係であり、スマートフォンの利用時間だけが学力の原因だと断定できるものではありません。

ここから考えるべきなのは、「スマートフォンは悪いから禁止する」「タブレットを使えば学力が上がる」という単純な話ではないと思います。

 

同じ機器でも、

動画を何時間も見続けるのか。

分からない言葉を調べるのか。

自分の考えを整理するのか。

AIに答えだけを出させるのか。

AIへヒントを求め、自分で解き直すのか。

使い方によって、学習への影響は大きく変わります。

 

オールウェイズで作成した質問対応AI「ウェイズ先生」も、すぐに答えを渡すためのものではありません。

どこで止まっているかを確認し、問題を小さく分け、生徒自身に考えてもらいます。

AIを使うことが目的ではなく、自分で考える時間を増やし、人間の指導へつなげることが目的です。

 

全国の課題を、目の前の一人へ落とし込む

全国学力・学習状況調査は、日本全体の傾向を知るうえで価値のある調査です。

しかし、全国平均を見ただけでは、目の前の生徒がなぜ間違えたのかは分かりません。

必要なのは、

  1. 問題を実際に解く
  2. 間違い方を見る
  3. 原因を特定する
  4. 必要な内容まで戻る
  5. 別の問題で確かめる
  6. 学習記録へ残す
  7. 次の授業で再確認する

という流れです。

全国調査が教えてくれるのは、大きな方向です。

そこから先、どの生徒へ何をするかを決めるのは、学校や塾など、現場の役割です。

 

分析結果を読んで、「やはり記述力が課題でした」「数学は活用問題が苦手でした」「英語は話す力が不足していました」で終わってはいけません。

明日の授業で、問いかけを一つ変える。

答えだけでなく理由を聞く。

図を書かせる。

本文の根拠へ線を引かせる。

英語でbecauseまで言わせる。

一週間後にもう一度解かせる。

その小さな変更を積み重ねるしかないと思います。

 

調査結果は、生徒を評価するためではなく授業を変えるためにある

全国学力・学習状況調査の結果を見ると、どうしても正答率に注目が集まります。

しかし、数字を見て、「今の子どもは考える力がない」「スマートフォンばかり使うから学力が下がる」と、生徒側だけに原因を求めるのは違うと思います。

 

問題を解けなかったのであれば、

どこで止まったのか。

その力を育てる授業になっていたか。

知識を覚えた後、それを使う練習までできていたか。

説明する時間を確保できていたか。

教える側も問われています。

 

調査結果は、生徒にできていないことを突きつけるためのものではありません。

私たちの授業をどう変えるかを考えるための資料です。

オールウェイズでも今回の分析を、読んで終わりにはしません。

国語では、根拠と考えを分ける。

数学では、公式の前に意味を確認する。

英語では、考えに理由を加える。

そして、説明後に自分で再現できるかまで確かめる。

全国で見えた課題を、安佐南区の教室で、目の前の一人ひとりへの具体的な指導へ変えていきます。

成績に伸び悩んでいる場合、問題集の量を増やす前に、どの段階で理解が止まっているかを確認する必要があります。現在の学習状況を整理しながら、必要な内容まで戻り、もう一度自分で使える形へつなげていきます。