保護者向け・コラム(豆知識)
【保護者が子どもに身につけてほしい力「表現力」が最多】作文が上手いだけではありません
こんにちは、完全個別指導塾オールウェイズです。
今日8月26日、興味深い教育調査が公表されました。
栄光ゼミナールが、小学1年生から高校3年生までの子どもを持つ保護者2,391人を対象に行った「小中高生の読書と語彙・表現力に関する調査」です。
その中で、「子どもに今後、特に身につけてほしい力」を、
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読解力
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思考力
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傾聴力
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表現力
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語彙力
の5つから選んでもらったところ、小学生・中学生・高校生のすべてで、「自分の考えを分かりやすく伝える力=表現力」が最も高く、約4割となりました。
また、日常の言葉遣いについても、約7割の保護者が、「物事の要点を整理して、相手に分かりやすく伝える力を養ってほしい」と回答しています。
この結果を見て、「分かるなあ」と思いました。
私も授業をしていて、これからますます大切になる力だと感じています。
ただ、ここでいう「表現力」を、作文を上手に書く力だけで考えると、少しもったいないと思います。
表現力は、国語だけの力ではありません。
数学にも。
英語にも。
理科にも社会にも。
そして普段の会話や、将来の面接にも関係します。
表現力とは「頭の中にあるものを相手へ渡す力」
たとえば、生徒に、「ここ分かった?」と聞くと、「分かりました」と答える。
でも、「じゃあ、どういうこと?」と聞くと、「えーっと……」となることがあります。
これは以前書いた、「分かった」と「自分でできる」は違うという話にもつながります。
頭の中に何となく理解があっても、それを言葉にできないことがあります。
反対に、「自分はここまでは分かるけど、この部分が分からない」と説明できる生徒もいます。
この違いは大きいです。
表現力とは、難しい言葉をたくさん使うことでも、きれいな文章を書くことでもなく、自分の頭の中にある考えを整理して、相手が理解できる形にして渡す力だと私は考えています。
数学でも表現力は必要です
数学というと、「計算できればいい」と思われがちです。
でも、数学でも表現力はかなり重要です。
たとえば答えが、x=3だったとします。
答えは正しい。
そこで、「なぜ3になるの?」と聞く。
すると、「こうやって……」と途中式を説明できる生徒もいれば、「分かんないけど、3になりました」という生徒もいます。
テストで○なら、どちらも同じ1点かもしれません。
でも、理解の深さはかなり違います。
数学では、
途中式を書く。
図を書く。
条件を整理する。
どの公式を使ったか説明する。
なぜその操作ができるか説明する。
これも全部、表現です。
頭の中だけで処理しているものを外へ出すことで、自分自身も間違いに気づきやすくなります。
だから途中式は、先生に見せるためだけに書くものではありません。
自分の考えを自分で確認するためにも書きます。
英語は「自分の考え+理由」がますます重要になる
英語も同じです。
以前、全国学力・学習状況調査についての記事を書きました。
そこでも、中学生が自分の考えを英語で表現するとき、自分の意見は言えていても、理由まで説明することに課題があるという結果が出ていました。
たとえば、I like summer.までは言える。
では、「なぜ?」と聞かれたら、Because I can swim.まで続けられるか。
大切なのは、becauseを知っていることだけではありません。
まず日本語でも、「自分はなぜ夏が好きなんだろう」と考える必要があります。
つまり英作文には、英単語、英文法、語順、だけでなく、そもそも自分が何を伝えたいのかを整理する力が必要です。
これも表現力です。
国語の記述は「きれいな文章を書く問題」ではない
国語の記述問題になると、「作文が苦手だから書けない」という生徒がいます。
でも実際には、原因が文章力だけとは限りません。
問いが何を聞いているのか理解できていない。
本文のどこが根拠なのか見つけられていない。
必要な情報と不要な情報を分けられていない。
自分の考えと本文の根拠がつながっていない。
こうしたところで止まっていることがあります。
だからオールウェイズでは、いきなり模範解答のような文章を書かせるのではなく、「何を聞かれている?」「本文のどこが根拠?」「じゃあ、それをどうつなぐ?」と分けて考えます。
表現力の前には、読解力と、思考力があります。
今回の調査でも、表現力に続いて、読解力や思考力を身につけてほしいという回答が多くなっています。
この3つは、かなり密接につながっています。
表現できないと「分からない原因」も分かりにくい
個別指導をしていて、表現力が大切だと感じる場面がもう一つあります。
それが質問です。
生徒から、「これ分かりません」と言われる。
もちろん、それでも質問してくれたことは大切です。
でも、「何が分からない?」と聞いて、「全部」となると、まず一緒に原因を探す必要があります。
一方で、「ここまではできたんですけど、この式に変わる理由が分かりません」と言える生徒なら、必要な説明がすぐ分かります。
英語でも、「この単語の意味は分かるけど、このthatが何なのか分かりません」と説明できれば、かなり具体的です。
自分が分からないことを説明できる。
これも立派な表現力です。
そして、自分で勉強できるようになるためには、とても重要な力です。
表現力は「たくさん話せば伸びる」だけではない
では、表現力を伸ばすために、「とにかくたくさん話そう」「作文をたくさん書こう」でよいのでしょうか。
もちろん量も必要です。
でも、それだけではないと思っています。
授業中に少し問い方を変えるだけでも、練習になります。
たとえば、「答えは?」だけではなく、「なんで?」と聞く。
「分かった?」ではなく、「何が分かった?」と聞く。
「間違えた?」ではなく、「どこで間違えたと思う?」と聞く。
「今日何した?」ではなく、「今日できるようになったことは?」と聞く。
一言で答えられる質問から、少し説明が必要な質問へ変えます。
それだけでも、自分の考えを言葉にする回数は増えます。
「うまく言えない」をすぐ助けすぎない
個別指導なので、生徒が詰まっていると、すぐに何を言いたいのか分かることがあります。
「たぶん、こういうことを言いたいんだろうな」と。
そこで先生が、「つまりこういうことでしょ?」と全部言ってしまえば、授業は早く進みます。
でも、あえて少し待つこともあります。
「もうちょっと自分の言葉で言ってみて」「完璧じゃなくていいよ。分かるところだけ」と。
うまく言えなくてもいい。
文法的に完璧な日本語でなくてもいい。
まず言葉にしてみる。
そこから一緒に整理します。
先生が毎回先回りして正しい言葉を渡してしまうと、生徒自身が言葉を探す経験が減ってしまうからです。
読書と表現力の関係も興味深い
今回の調査では、読書についても興味深い結果が出ています。
習慣的に読書をしていると回答した割合は、
小学生56.4%
中学生45.6%
高校生25.3%
と、学年が上がるにつれて低くなっています。
また、保護者から見て「読書が好き」とされる子どもの60.4%が、文章を書くことも好き・どちらかといえば好きと回答された一方、「読書が嫌い」とされる子どもでは7.8%でした。
これはあくまで保護者への調査から見えた関連性であって、「本を読めば必ず文章力が上がる」という因果関係まで証明したものではありません。
ただ、たくさんの文章に触れることが、「こういう言い方があるんだ」「こう説明すると伝わるんだ」という表現の引き出しを増やす機会になることはあると思います。
本を読むだけでも終わらせない
読書についても、「本をたくさん読みなさい」だけでは、なかなか続かないと思います。
それより、面白かった本について、「どこが面白かった?」「なんでその人が好き?」「自分だったらどうする?」と少し話す。
今回の調査でも、家庭で本の感想を話したり、ニュースを見ながら「どう思う?」「なぜだろう?」と問いかけたりしているという声が紹介されています。
読む。
考える。
話す。
書く。
これらは別々の力のようで、かなりつながっています。
AI時代だからこそ「表現力」はさらに大切になる
生成AIを使えば、文章自体は簡単に作れるようになりました。
先週の記事でも書きましたが、「800字の作文を書いて」と頼めば、数秒で完成します。
だから、「文章を書く力はもう必要ない」という考え方もあるかもしれません。
私は逆だと思っています。
AIが文章を作れるからこそ、自分が本当に何を考えているのかを言える力が必要になります。
AIが作った文章を読んで、「これは自分の考えと違う」と言えるか。
「この表現より、こっちの方が自分の言いたいことに近い」と判断できるか。
そもそも、「私はこう考えている」というものが自分の中にあるか。
ここはAIには任せられません。
表現力とは、AIより上手な文章を書く競争ではありません。
自分の考えを持ち、それを相手に伝わる形へできること。
これからますます重要になると思います。
面接や志望理由書にもそのままつながる
中学生や高校生にとって、表現力は入試にも関係します。
面接で、「なぜこの高校を志望しましたか?」と聞かれる。
志望理由書で、「大学で何を学びたいですか?」と書く。
総合型選抜なら、自分がこれまで取り組んできたことや、そこから何を考えたのかを説明する。
そのとき、「なんとなく」では伝わりません。
自分の経験。
そこから感じたこと。
考えたこと。
志望校とのつながり。
将来やりたいこと。
それぞれを整理して、相手に伝える必要があります。
だから表現力は、国語のテストのためだけに身につける力ではありません。
表現力は「話す・書く」前の段階から育てる
私は、表現力を次のように考えています。
まず、読む・聞く。
情報を受け取る。
次に、考える、何が大切か、自分はどう思うか、なぜそう思うか。
そして、整理する。
何から話すか。
どの情報が必要か。
最後に、話す・書く、相手へ伝える。
つまり、
読む・聞く
→考える
→整理する
→伝える
最後の「伝える」だけ練習しても、その前がなければなかなか上手くいきません。
オールウェイズでできること
オールウェイズは、文章表現専門の塾ではありません。
でも、普段の完全個別指導だからこそ、できることがあります。
答えだけを聞かない。
理由も聞く。
途中式を書いてもらう。
本文の根拠を示してもらう。
英語なら理由まで言ってもらう。
「分からない」を具体的にしてもらう。
学習記録で、今日やったことや課題を言葉にする。
こうした小さなやり取りを、毎日の授業の中で積み重ねることです。
表現力を伸ばすためだけに、特別な作文を毎日書かなくても、普段の勉強の中に、表現する機会はたくさんあります。
今回の調査で、多くの保護者が子どもに「表現力を身につけてほしい」と考えていることが分かりました。
私も、とても大切な力だと思っています。
ただ、表現力を、「上手に話せる子になる」「作文がきれいに書ける子になる」だけで終わらせたくありません。
分かったことを説明できる。
分からないことを説明できる。
自分の意見に理由をつけられる。
相手に合わせて必要な情報を選べる。
自分の考えを自分の言葉で伝えられる。
そこまで含めた力として、日々の授業の中でも育てていきたいと思います。
安佐南区の完全個別指導塾オールウェイズでは、答えを出すことだけでなく、「なぜそう考えたのか」「どこで分からなくなったのか」を自分の言葉で説明することも大切にしています。
問題は解けるのに記述になると書けない、面接や英作文で自分の考えをうまく伝えられないという場合も、いきなり上手な文章を求めるのではなく、考えを整理するところから一緒に練習していきます。



