保護者向け・コラム(豆知識)

【「自分で勉強しなさい」で自主性は育つのか】自主学習は「放っておくこと」ではありません

こんにちは、完全個別指導塾オールウェイズです。

今日は、最近の教育ニュースから気になった調査を一つ取り上げます。

Duolingoが小中学生の保護者825人を対象に実施した「夏休みの子どもの学習に関する調査」では、83.2%の保護者が、学校の宿題とは別に子どもが自主的に学ぶことを重要だと回答しました。

 

一方で、実際に自主学習を続けるうえでの課題として、

「集中力ややる気が続かない」32.5%
「学習を継続し、習慣にすることが難しい」28.6%
「子どもが自分から学習を始めない」27.3%

などが挙げられています。

 

この結果を見て、「自主的に勉強してほしい。でも、自分からはなかなか始めない」という悩みは、本当に多くの家庭に共通しているのだと思いました。

そして、ここで一つ考えたいことがあります。

自主性を育てるためには、「自分でやりなさい」と任せることが、本当に一番よいのでしょうか。

私は、そうではないと思っています。

 

「自主的にやる」と「一人で全部やる」は違う

自主学習という言葉から、「先生や親に言われなくても、自分で全部決めて勉強する」という姿を想像することがあります。

もちろん、最終的にはそこへ近づいてほしいと思います。

でも、最初からそれができる生徒は多くありません。

何を勉強すればよいのか分からない。

どの教材を使えばよいのか分からない。

どのくらいやればよいのか分からない。

計画を立てても現実的なのか判断できない。

分からない問題が出たら止まる。

自分の勉強方法が合っているのかも分からない。

この状態の生徒へ、「自主性が大事だから、自分で考えてやりなさい」と言っても、難しいのは当然です。

自主性とは、最初から全部一人でできる能力ではなく、少しずつ一人でできることを増やしていく力だと思っています。

 

興味深かったのは「家族の関わり方」

今回の調査で特に興味深かったのが、学習が順調に進んでいる家庭の特徴です。

夏休み前の期待以上に自主学習へ取り組めている家庭では、88.9%が週1回以上、家族で一緒に学ぶ機会があると回答しています。

一方、「期待より大きく取り組めていない」と回答した家庭では31.6%でした。

ただし、ここは注意が必要です。

これは「親が一緒に勉強すれば必ず成績が上がる」という因果関係を示した調査ではありません。

民間企業によるインターネット調査ですし、家庭環境や子どもの性格など、ほかの要因もあります。

それでも、関わり方の違いはとても興味深いものでした。

 

学習が期待以上に進んでいる家庭では、

「学習計画や目標を一緒に立てる」32.1%

「教材や学習内容を一緒に選ぶ」30.2%

「学習する時間やルールを一緒に決める」27.2%

など、一緒に考える関わり方が見られました。

 

反対に、学習が大きく期待を下回っている家庭では、「学習するように声をかけている」51.9%が最も多くなっています。

ここには、かなり大切なヒントがあると思います。

 

「勉強しなさい」だけでは、次の行動が分からない

たとえば、「そろそろ勉強しなさい」と言われたとします。

生徒からすれば、「分かった」とは思います。

 

でも、その次に、

数学をするのか。

英語をするのか。

学校ワークなのか。

復習なのか。

何ページなのか。

何分するのか。

昨日間違えた問題を直すのか。

それとも新しいところへ進むのか。

何も決まっていません。

つまり、「勉強しなさい」は行動を促していても、勉強の方法までは教えていないのです。

もちろん、中学生や高校生になれば、自分でそこまで決められるようになってほしい。

でも、できない生徒には、最初はそこを一緒に決める必要があります。

 

自主性を育てるなら「決める経験」を増やす

では、全部大人が決めればいいのか。

それも違います。

 

たとえば、

「今日は数学を30ページやりなさい」

「英単語は毎日100個」

「何時から何時まで机に座りなさい」とすべて決めてもらえば、生徒はその通り動くかもしれません。

でも、それでは、自分で学習を組み立てる経験が増えません。

だから私は、「何をする?」と聞きます。

生徒が、「数学」と答えたら、「数学の何をする?」と聞く。

「ワーク」なら、「どこまで?」「昨日間違えた問題はどうする?」「今日は何分くらいあればできそう?」と少しずつ具体化していきます。

最初は先生と一緒に決める。

次第に、生徒自身が答えられることを増やす。

そして最終的には、「今日は昨日間違えた方程式を先にやって、そのあと英単語を30個確認します」と自分から言えるようになる。

私は、この過程が自主性を育てるのだと思っています。

 

「自分で考える力」は、急に生えてこない

文部科学省が8月21日に中央教育審議会へ諮問した、第5期教育振興基本計画の策定に向けた議論でも、AI時代に必要な力として、自ら問いを立てて学びを深める力などが挙げられています。

同時に、好奇心、意欲、粘り強さといった、人が持つ力の重要性も示されています。

私は、この方向性にはとても納得します。

 

ただ、

「自ら問いを立てましょう」

「主体的に学びましょう」

と言われたからといって、翌日からできるようになるわけではありません。

自分で勉強を進める力も同じです。

 

最初は、

「今日は何をやる?」

と誰かに聞いてもらう。

「これでいいと思う?」と一緒に確認する。

終わったら、「予定通りだった?」と振り返る。

その経験を繰り返しながら、

自分で決める範囲を少しずつ広げる。

そうやって育てるものだと思っています。

 

計画を立てるだけでも、自主学習とは言えない

もう一つ注意したいのが、計画を自分で立てた=自主学習ができているでもないことです。

夏休み前に、

9時〜10時 数学
10時〜11時 英語
13時〜14時 理科
14時〜15時 社会

と、とてもきれいな予定表を作った。

でも実際にはほとんどできていない。

これはよくあります。

計画を立てる力と、実行する力は別です。

さらに、実行する力と、振り返って修正する力も別です。

 

だから、

計画
→実行
→記録
→振り返り
→修正

まで必要です。

「計画どおりできなかった。自分はダメだ」で終わるのではなく、なぜできなかったのか。

量が多すぎたのか。

開始時間が遅かったのか。

分からない問題で止まったのか。

スマホを触ったのか。

疲れていたのか。

それを見て、次の日の計画を変えます。

 

オールウェイズで学習記録を残す理由

オールウェイズでは、自習でも学習記録を大切にしています。

ただ、「今日は3時間勉強した」と時間だけを書くためではありません。

 

何をしたのか。

どこまで進んだのか。

何ができたのか。

どこで困ったのか。

次に何をするのか。

そこまで残します。

塾長も確認し、必要に応じてコメントします。

これは、生徒を監視するためではありません。

自分の学習を自分で見られるようになるためです。

 

毎日記録していると、

「数学ばかりやっていて英語を全然やっていない」

「毎回同じ単元で止まっている」

「自習室に3時間いるけれど、実際の学習内容が少ない」

といったことが見えてきます。

 

そして、「じゃあ明日はどうする?」と考えられます。

 

Every Checkで目指しているのも「管理」ではない

見守り自習のEvery Checkでも、目指しているのは、「塾長に毎日勉強させられる状態」ではありません。

むしろ逆です。

最終的には、塾長が細かく言わなくても、自分で学習を進められる状態を目指しています。

 

そのために、

最初は学習記録を確認する。

必要なら教材を一緒に考える。

勉強方法にズレがあれば伝える。

振り返りをする。

コメントする。

少しずつ、自分で判断できる部分を増やしていきます。

ただ場所を貸して、「好きに勉強してください」ではありません。

でも、毎日すべてを指示するわけでもない。

この間にある、「見守りながら、少しずつ手を離す」という関わりを大切にしています。

 

保護者も「教える人」になる必要はありません

今回の調査を見ると、「じゃあ親が毎日一緒に勉強しないといけないの?」と思われるかもしれません。

私は、そこまで必要だとは思いません。

中学生になれば、数学や英語の内容を家庭で教えるのが難しいこともあります。

保護者の方が先生になる必要はありません。

 

それより、

「今日は何する予定?」

「昨日決めたところまでできた?」

「明日はどうする?」

くらいでもいいと思います。

ポイントは、答えを与えることではなく、本人が自分で決めるための質問をすること。です。

「勉強した?」だけだと、「した」「してない」で終わります。

でも、「今日は何ができるようになった?」なら、少し振り返る必要があります。

「次はどこをやる?」なら、未来の行動を考えます。

声のかけ方を少し変えるだけでも、自分の学習について考える機会を増やせます。

 

手を出しすぎても、離しすぎても難しい

子どもの学習への関わり方には、本当に難しいところがあります。

手を出しすぎると、自分で考えなくなる。

離しすぎると、何をすればよいか分からず止まる。

特に成績に伸び悩んでいる生徒の場合、「中学生なんだから自分でやりなさい」だけでは、なかなか改善しないことがあります。

それは本人にやる気がないからだけではありません。

まだ、自分で勉強を管理する方法を習っていない可能性があります。

 

何をするか決める。

優先順位をつける。

時間を見積もる。

分からなければ助けを求める。

終わったら振り返る。

計画を修正する。

 

これらも全部、勉強の技術です。

教科書にはあまり載っていませんが、成績を伸ばすためにはかなり重要です。

 

「勉強しなさい」がいらなくなることがゴール

自主性を育てるというと、「今すぐ一人でやらせる」と考えがちです。

でも私は、今は一緒にやることで、将来一人でできるようにするという方が自然だと思っています。

 

補助輪と同じです。

最初は支える。

慣れたら少し離す。

自分でできるようになったら、外す。

最初から補助輪なしで、「自分で乗りなさい」では、転んで嫌になる子もいます。

勉強も同じです。

 

まず一緒に決める。

一緒に振り返る。

できるようになった部分は任せる。

また困ったら少し手を貸す。

その繰り返しの先に、保護者からも先生からも、「勉強しなさい」と言われなくても自分で動ける状態があります。

それが本当の意味での自主学習ではないでしょうか。

今回の調査では、83.2%の保護者が自主的な学びを大切だと考えていました。

私も同じです。

ただし、自主性を大切にすることと、子どもを一人にすることは同じではありません。

自主性は、放っておけば育つものではない。

自分で考え、自分で決め、自分で振り返る経験を積ませながら、少しずつ手を離していく。

オールウェイズでも、授業だけではなく自習や学習記録まで含めて、その力を育てていきたいと思っています。