塾長のひとりごと
AIに答えを出させるだけでは足りない|文科省が示した「これからの情報教育」
こんにちは、完全個別指導塾オールウェイズです。
今日から8月です。
昨日の記事では、7月を頑張った人は見つかった課題を一つずつ潰し、思うように取り組めなかった人はリスタートする気持ちで始めてほしいと書きました。
そんな8月の始まりに、教育とAIについて気になるニュースがありました。
文部科学省は7月30日、次期学習指導要領に向けた情報教育の取りまとめ案を示しました。
その中で、高校の情報科では、生成AIにプログラムを作らせるだけでなく、
- 目的どおりに動くか
- 内容に誤りがないか
- アルゴリズムとして成り立っているか
- どこを直せばより良くなるか
を、生徒自身が検証し、改善する学習が想定されています。
私は、この考え方はプログラミングだけの話ではないと思っています。
これからAIを使って勉強するうえで、とても大切な考え方です。
AIに「作らせること」がゴールではない
生成AIへ指示を出せば、文章を書いたり、問題を解いたり、プログラムを作ったりできます。
以前であれば、人が一から作らなければならなかったものを、短い時間で形にできるようになりました。
ただし、AIが何かを作ってくれたからといって、それが正しいとは限りません。
一見すると自然な文章でも、内容が間違っていることがあります。
数学でも、途中の説明はもっともらしいのに、計算や結論が誤っている場合があります。
プログラムも、見た目は完成していても、実際に動かすと想定外の結果になることがあります。
だから、これから必要になるのは、AIを使えることだけではなく、AIが出したものを自分で確かめられることです。
文部科学省の案でも、これまでの「自分でコードを書く経験」に加え、実現したい内容を整理してAIへ指示し、生成されたプログラムを論理的・批判的に検討して改善する力が重視されています。
「AIに聞いたから正しい」は通用しない
生徒が勉強中にAIを使う場面も、これからさらに増えていくと思います。
分からない言葉を調べる。
英文の意味を尋ねる。
数学の解き方を説明してもらう。
作文の構成を相談する。
プログラムを作ってもらう。
こうした使い方自体を、すべて悪いとは思っていません。
私自身、オールウェイズの質問対応AI「ウェイズ先生」を作り、学習支援への活用を進めています。
ただし、
「AIがそう言ったから合っている」
「答えが表示されたから理解できた」
で終わってしまうのは危険です。
AIが出した答えを、教科書や資料と照らし合わせる。
計算を自分でもやり直す。
なぜその答えになるのかを説明する。
別の問題でも同じ考え方を使えるか試す。
ここまで行って、初めて学習につながります。
学校の情報教育は大きく変わる可能性があります
今回の案では、高校の情報科だけでなく、小学校から高校までの情報教育を一つの流れとして見直す方向が示されています。
小学校では、「総合的な学習の時間」に「情報の領域(仮称)」を位置付ける方向です。
中学校では、現在の技術分野を再編し、「情報・技術科(仮称)」を新しく設けることが検討されています。
高校では、必修科目である「情報Ⅰ」の内容をさらに充実させる方針です。
全面実施は、小学校が2030年度、中学校が2031年度、高校が2032年度からの予定ですが、小学校では2028年度、中学校では2029年度から段階的に先行実施する方向で検討されています。
現時点では確定した学習指導要領ではありませんが、予定どおり進めば、現在の小学生や中学生が進級する頃には、学校で学ぶ情報教育の内容が今よりかなり増える可能性があります。
AI時代ほど、基礎学力が必要になる
AIが便利になると、
「計算はAIがしてくれる」
「文章もAIが書いてくれる」
「プログラムもAIが作ってくれる」
のであれば、基礎的な勉強は必要ないのではないかと思う人もいるかもしれません。
私は、むしろ逆だと考えています。
AIが作ったものを正しく評価するには、自分の中に判断するための基準が必要です。
数学の基本が分からなければ、AIの計算ミスに気づけません。
英語の語順が分からなければ、生成された英文が自然かどうか判断できません。
文章を読む力がなければ、AIの説明に矛盾があっても見抜けません。
情報の出典を確認する習慣がなければ、事実と誤情報を区別できません。
AIが答えを作る時代だからこそ、
- 読む力
- 計算する力
- 筋道を立てて考える力
- 根拠を確認する力
- 自分の言葉で説明する力
が、これまで以上に重要になります。
「質問する力」だけでは足りない
AI活用では、よく「良い質問をする力が大切」と言われます。
確かに、曖昧な指示よりも、目的や条件を具体的に伝えた方が、良い回答を得やすくなります。
ただ、質問する力だけでは十分ではありません。
AIから回答が返ってきた後に、
「本当にそうだろうか」
「条件を見落としていないか」
「別の考え方はないか」
「自分でも説明できるか」
と立ち止まる力が必要です。
今回の情報教育案でも、AIへ適切な指示を出すことと同時に、生成されたものの妥当性を検討し、改善することが重視されています。
これは、オールウェイズで普段から大切にしている、「なぜこの答えになるのか」を考えることと同じです。
ウェイズ先生も、答えをすぐに渡すためのAIではありません
オールウェイズで作っている「ウェイズ先生」も、問題の答えをすぐに表示するだけのAIにはしていません。
まず、
「どこまでは分かっている?」
「何を使えそう?」
「どの部分で手が止まった?」
と確認します。
必要に応じてヒントを出しますが、最後は生徒自身に考えてもらいます。
また、AIだけで正確に対応できない内容や、理解が不十分なまま進みそうな内容は、塾長へ引き継ぐ仕組みにしています。
AIが人間の先生に代わるのではありません。
AIを使って、生徒が考える時間を増やし、人間による指導へつなげる。
今回、文部科学省が示した「AIが作ったものを検証し、改善する」という方向は、ウェイズ先生で目指している考え方とも重なる部分があります。
大人もAIの答えを確かめる必要がある
これは子どもだけの問題ではありません。
大人も、AIが出した文章や要約を、そのまま使ってしまうことがあります。
私もブログ、教材、学習計画などを作る際にAIを活用することがあります。
ただし、日付、曜日、入試制度、料金、学校情報などは、必ず元の資料を確認します。
AIはとても便利です。
しかし、便利であることと、常に正しいことは別です。
AIを使う人間が、
「どこを任せるか」
「どこを自分で確認するか」
を判断しなければなりません。
文部科学省は、学校現場での生成AI利用に関するガイドラインについても、急速な技術の進展を踏まえ、2026年度中に改定する方針を示しています。教員研修、教材開発、外部人材の活用なども含め、学校だけへ対応を任せず、国として環境整備を進める計画です。
AIを禁止するだけでは学べない
生成AIには、誤情報、個人情報、著作権、依存などの課題があります。
だからといって、学校や家庭で全面的に遠ざけるだけでは、正しい使い方を身につける機会もなくなります。
7月30日に行われた文部科学省委託の「教育×生成AIシンポジウム」も、学校関係者や保護者が生成AIの可能性とリスクを理解し、適切な活用について共通理解を作ることを目的として開催されました。
大切なのは、「使うか、使わないか」だけではありません。
どう使うのか。
何を入力してよいのか。
回答をどのように確認するのか。
どこから先は人へ相談するのか。
そこまで教える必要があります。
これからの学力は「答えを出す力」だけではない
これまでの勉強では、正しい答えを出せることが大きく評価されてきました。
もちろん、それは今後も必要です。
ただ、AIが短時間で答えを作れるようになる中では、
- 問題を正しく理解する
- AIへ目的を伝える
- 出てきた答えを検証する
- 間違いを見つける
- より良い形へ修正する
- 最終的に自分で判断する
という力も必要になります。
答えを作る作業の一部はAIに任せられても、その答えを採用してよいかを決める責任は人間に残ります。
だから、オールウェイズでもAIの導入だけを急ぐつもりはありません。
生徒が考えなくなる使い方ではなく、考えるきっかけになる使い方。
答えを写して終わる使い方ではなく、自分の理解を確認する使い方。
AIだけで完結させず、必要な内容を人間の指導へつなぐ使い方。
そうした形を一つずつ作っていきます。
情報教育の制度が本格的に変わるのは少し先ですが、AIはすでに生徒たちの身近なところにあります。
だからこそ、制度が変わるのを待つのではなく、今から正しい使い方と、AIの回答を疑い確かめる力を育てていきたいと思います。
完全個別指導塾オールウェイズでは、基礎学力を大切にしながら、AIを活用した質問対応や学習記録の仕組みづくりも進めています。
AIに答えを出させて終わるのではなく、自分で考え、確かめ、説明できる状態を目指します。学習方法や家庭でのAI利用について気になることがありましたら、現在の使い方も含めてご相談ください。



