保護者向け・コラム(豆知識)

【先生の探し物をAIが手伝う時代へ】小中学校で「校務AI」の実証が始まった

こんにちは、完全個別指導塾オールウェイズです。

今日、ちょっと気になる教育AIのニュースがありました。

大阪府茨木市とNTT西日本が、市立小中学校で「校務AI」の実証を始めました。

使われるのは、NTTが開発した国産LLM「tsuzumi 2」と呼ばれるものです。

しかも、一般の生成AIサービスへ学校の情報をそのまま送るのではなく、外部に依存しないプライベートな環境で動かす仕組みです。

NTT西日本によると、小中学校向けの校務AIに純国産のプライベートLLMを使う実証は、2026年9月時点で全国初とのことです。

実証は10月13日から2027年3月31日まで、市立の一部小中学校で行われます。

で、このAIが何をするのかというと、授業をするわけではありません。

子どもに答えを教えるわけでもありません。

先生の「探す・読む・書く」を手伝います。

私は、この使い方はかなり面白いと思っています。

 

学校には、とにかく文書が多い

今回の実証の背景として挙げられているのが、学校内にある大量の文書です。

業務に必要な情報が複数のファイルに分散していて、

「あの内容、どの資料に書いてあったっけ?」と探す。

 

そして必要なら文書を作る。

こうした時間が教職員の負担になっています。

今回の校務AIでは、チャット形式で質問したり、校務文書を検索・要約したり、文章作成を支援したりすることが想定されています。

実証では、実際に検索や文書作成にかかった時間、回答がどの程度役立ったか、操作しやすかったか、継続して使いたいかなどを調べる予定です。

これ、地味に見えます。

 

AIというともっと、「AI先生!」「自動で授業!」みたいなものを想像します。

でも私は、こういう地味なところこそAIを入れてほしいと思っています。

 

先生が10分探している間、生徒を見ることはできない

例えば、ある生徒について確認したいことがある。

過去の記録を探す。

資料を開く。

必要なところを読む。

10分かかった。

 

たった10分です。

 

でも20回やれば200分。

3時間以上です。

 

その時間が、生徒と話す時間に変わるなら、意味はかなり大きいと思います。

教師の働き方改革というと、「先生の仕事を減らす」と聞こえることがあります。

もちろん負担を減らすこと自体も必要です。

でも私は、何のために減らすのかが大事だと思っています。

先生が楽をして終わりではない。

人間がやらなくてもいいところを機械に手伝ってもらって、人間にしかできないところへ時間を戻す。

私はその使い方が好きです。

 

10月2日の記事で書いた話が、もう具体的になってきた

つい先日、このブログで、

米国では「AIに先生をやらせるな」

欧州では「AIで先生を楽にする」

日本では「学校AIのルールを見直す」

という動きが同時に起きているという話を書きました。

 

そのとき私は、「AIが先生になる」のと「先生がAIを使う」のは全然違うと書きました。

今回の茨木市の実証は、まさに後者です。

AIに子どもを任せるのではありません。

先生がやっている膨大な仕事の中から、「ここはAIに手伝ってもらえないか」を探しています。

こういう具体例が出てくると、教育AIも少しずつ次の段階へ進んでいる感じがします。

 

そして学校でAIを使うなら、「便利」だけでは決められない

今回もう一つ大事なのが、プライベートLLMであることです。

学校には、普通の会社以上に慎重に扱わないといけない情報があります。

児童生徒の情報。

保護者の情報。

成績。

相談内容。

学校内部の資料。

こういうものを、「便利だから、とりあえず一般のAIに入れてみよう」とはできません。

今回の実証ではオンプレミス環境の生成AIアプリケーションを使い、利用者の権限に応じたアクセス制御や、ローカル環境での運用によって安全性と実用性を検証するとしています。 

これは教育AIが広がる上で、ものすごく重要な部分です。

「AIで何ができるか」だけではなく、「その情報をどこへ渡していいのか」まで考えないといけません。

便利なものほど、ここを雑にしてはいけないと思っています。

 

私も最近「探す時間」をAIにかなり助けてもらっています

これは学校だけではありません。

 

私も塾をやっていて、「あれ、前回どこまでやったっけ?」と確認することがあります。

もちろん学習記録は残しています。

でも、記録が増えるほど探すのも大変になります。

WAYSを作っていても同じです。

データが増えれば増えるほど、記録することより、必要なときに必要な情報を取り出せることの方が重要になってきます。

生徒について100個記録が残っていても、授業の直前に必要な1個を見つけられなければ、使いにくい。

だからこれからWAYSでも、「データをたくさん集める」ことだけを目標にはしたくありません。

その記録が次の授業で使えるか。

ここまでやって初めて意味があります。

 

AIに記録を読ませれば、人間は生徒を見なくていい?

もちろん、そうではありません。

例えば、「最近この生徒は数学で正答率が下がっています」とAIが示してくれたとします。

それは便利です。

 

でも、なぜ下がっているのか、計算ミスが増えたのか、そもそも問題を適当に解いているのか。

そこを見るのは人です。

AIが、「正答率が下がりました」と見つける。

私が、「最近どう?」と聞く。

私はこの順番がいいと思っています。

AIが結論まで全部決めて、「この生徒はこういう子です」とラベルを貼り始めるのは怖い。

だからWAYSでも、生徒について蓄積する情報は「決めつけるため」ではなく、次にどう関わるかを考えるための材料として扱いたいと思っています。

 

教育AIの本命は、派手な「AI先生」ではないのかもしれない

AI教育のニュースでは、どうしても派手なものが注目されます。

 

もちろん、それらにも可能性があります。

でも数年後に振り返ったとき、「実は一番教育現場を変えたのは、先生が資料を探す時間が半分になったことでした」みたいなことも普通にあり得ると思っています。

派手ではありません。

 

でも先生が毎日20分、30分取り戻せる。

一年積み重ねたらかなりの時間です。

その時間で、一人の生徒と5分長く話せるかもしれない。

答案を少し丁寧に見られるかもしれない。

授業を一つ改善できるかもしれない。

私はそっちの方が教育への影響は大きい気もします。

 

私もAIには「私じゃなくてもいい仕事」をやってほしい

オールウェイズでも考え方は同じです。

私は1対1授業をします。

生徒と話します。

答案を見て、「これ、ほんまに分かっとる?」と聞きます。

必要なら先生役をしてもらって、質問責めにもします(笑)

これは私がやります。

 

一方で、大量のデータを整理する、記録から必要なものを探す、問題のたたき台を作る。

こういうところはAIにかなり助けてもらえばいい。

全部自分でやることが「丁寧な指導」ではありません。

人間がやった方がいいことへ、人間の時間を残す。

そのためのAIなら、私はかなり歓迎です。

 

「AIで先生を減らす」ではなく、「先生に時間を返す」

今回の校務AIの実証について、NTT西日本と茨木市も、文書検索や作成などにかかる時間を減らし、教職員が児童生徒と向き合う時間を確保できる教育環境につなげたいとしています。 

この言い方が一番しっくりきます。

AIを使う目的は先生をいらなくすることではない。

先生に、先生にしかできない時間を返すこと。

学校でも塾でも、ここは同じだと思います。

AIがどんどん賢くなっている今だからこそ、

「AIに何をさせる?」だけではなく、「空いた時間で、人間は何をする?」まで考える。

そこまでセットで初めて、教育AIの意味が出てくるんじゃないでしょうか。