保護者向け・コラム(豆知識)
【小中学生の「友だちの悩み」、相談相手2位がAIに】私は「AIに相談するな」とは思わない
こんにちは、完全個別指導塾オールウェイズです。
今日10月16日、教育ニュースを見ていて、かなり気になる調査がありました。
ニフティキッズが小中学生を中心とした2,236人に「友だち・グループ」についてアンケートを行ったところ、84.5%が友だち関係で悩んだ経験があると回答。
そして、悩んだときの相談相手として最も多かったのは「だれにも相談しない(自分で解決する・我慢する)」、その次に多かったのが「AI(ChatGPTなど)」でした。
AIが勉強の質問相手になることは、もうそれほど驚かなくなりました。
分からない英単語を聞いたり、数学の解き方を尋ねたり、文章を添削してもらったりする生徒はこれからどんどん増えるでしょう。
でも今回は、勉強ではありません。
友だちの悩みです。
ここまでAIが子どもの生活に入ってきたのか、と少し考えさせられました。
「AIに悩み相談なんて」と簡単には言えない
最初に調査について少し注意しておくと、これは全国の小中学生から無作為に抽出した調査ではありません。
子ども向けサイト「ニフティキッズ」を訪れた人を対象にしたインターネット調査で、2026年7月21日から9月7日に行われています。
ですから、「日本の小中学生全体でAIが相談相手2位になった」とまで断定することはできません。
それでも、2,236件の回答の中でAIがこれだけ存在感を持っているという事実は、かなり興味深いと思います。
私はこれを見て、「子どもがAIに人間関係を相談するなんてよくない」と一刀両断する気にはなりませんでした。
むしろ、なぜAIに話すのかを考えた方がいいと思います。
友だちのことを親に話すのは少し恥ずかしい。
先生に言ったら大ごとになりそうで嫌だ。
友だち本人のことを別の友だちに相談すると、どこかで話が広がるかもしれない。
「こんなことで悩んでいると思われたくない」という気持ちもあるでしょう。
その点、AIなら夜中でも話せますし、「こんなことを言ったらどう思われるだろう」と相手の表情を気にする必要もありません。
まず頭の中にあるものを言葉にしてみる相手として、AIが選ばれるのは、ある意味では自然なのかもしれません。
むしろ気になったのは「誰にも相談しない」が1位だったこと
AIが2位という見出しはかなり目を引きますが、私はそれ以上に、1位が「誰にも相談しない」だったことが気になりました。
今回の調査では、友だち関係で悩んだ経験がある子どもの相談先として、「だれにも相談しない(自分で解決する・我慢する)」が最も多くなっています。
もちろん、すべての悩みを誰かに相談しなければいけないとは思いません。少し嫌なことがあって、自分の中で整理して終わることもあります。
ただ、「自分で解決する」と「我慢する」は同じように見えて、かなり違います。
時間が経てば解決する程度のことならいい。でも本人にとってかなり苦しいことまで、「誰にも言わない方がいい」「自分で何とかしないと」と抱え込んでしまうのは心配です。
そう考えると、AIが2位に入ったことを「子どもがAIに依存している」と見るだけではなく、人には言えなかったことを、とりあえずAIには言えたという側面もあると思います。
その一言目を出せたこと自体は、悪いことではないはずです。
ただし、AIにはできないことがある
一方で、ここからはかなり慎重に考えないといけません。
AIは話を整理することはできます。「こういう可能性もあるよ」と別の見方を示すこともできますし、相手へどう伝えるか一緒に文章を考えることもできます。
でも、AIはその教室を見ていません。
相談している本人の顔色も見ていませんし、相手の子が普段どんな様子なのかも知りません。
先生との関係、クラスの空気、家庭の状況も、入力された文章以上のことは分かりません。
例えば本人が「無視された」と書いたとしても、それが一度きりの出来事なのか、何週間も続いているのかで意味は大きく変わります。
本人は軽く書いていても、実際にはいじめに近い状況になっている可能性だってあります。
そこまでAIだけで判断させるのは危ないと思っています。
だから私は、AIを悩み相談の入口として使うことと、AIだけで完結させることは分けて考えたいです。
「こんなことがあったんだけど、自分でもよく分からない」とAIに話してみる。
そこで少し頭が整理できた結果、「やっぱり先生に言ってみよう」「親に話してみよう」と人につながるのであれば、むしろAIが橋渡しになる場合もあるでしょう。
逆に、深刻なことまで全部AIとの会話の中だけで終わってしまうなら、それは心配です。
子どもがAIに相談する時代なら、大人側も変わらないといけない
最近の教育AIの議論では、「子どもにAIを使わせるべきか」という話をよく見ます。
でも、今日の調査を見ると、現実はもう少し先まで進んでいる気がします。
大人が使わせるかどうかを決める前に、子どもたちはすでに使っています。
ニフティキッズが今年4月に公表した別の調査でも、小中学生の95%以上がAIを利用したことがあるという結果が出ています。
もちろんこちらも同サイト利用者を対象とした調査なので、すべての小中学生を代表する数字ではありません。
それでも、AIが一部の詳しい子だけの道具ではなくなっていることは感じます。
だとすると、大人がやるべきことも「禁止するか許可するか」だけでは足りません。
AIに相談してもいい。
ただ、AIの言うことが必ず正しいわけではないことも知っておく。
重大なことは人にも話す。自分や誰かの安全に関わることなら、なおさらです。
こういう使い分けまで教える必要が出てきていると思います。
塾でも、勉強だけを見ているわけではありません
私は塾長なので、生徒との関係は基本的には勉強から始まります。
数学が分からない、英語が苦手、テストで点を上げたい。そこから関わり始めます。
でも、長く通っていると、当然それ以外の話も出てきます。
学校のこと、部活のこと、友だちのこと、進路のこと。こちらから無理に聞き出すわけではありませんが、何気ない会話の中で「実はさ」と始まることがあります。
そういうとき、すぐに立派な助言をしようとはあまり思っていません。
本人が何に困っているのかをまず聞きたいからです。
「こうした方がいい」と大人が答えを出すより、話しているうちに本人自身が「自分はこれが嫌だったんだ」と気づくこともあります。
これは、実は私がWAYSのAIにもかなり意識している部分と似ています。
すぐ答えを渡すのではなく、まず本人が何を考えているのかを出してもらう。
ただし、ここには大きな違いもあります。私はその生徒を普段から見ています。
いつもより声が小さい、妙に元気がない、普段なら笑うところで反応が違う。そういう文章にはならない情報を、人間は受け取れます。
AIがどれだけ進化しても、この部分はかなり大きいと思います。
「AIか人間か」ではなく、どう人につなぐか
10月に入ってから、このブログではAIについて何度か書いてきました。
アメリカでは「AIに教師をさせない」という動きがあり、欧州ではAIを使って教師の負担を減らそうとしている。日本でも学校での生成AI利用ルールが見直されています。
そして今日のニュースでは、今度は子ども自身がAIを「相談相手」として選び始めています。
こうして見ると、AI教育の話はもう教材や宿題だけではありません。
子どもにとってAIがどういう存在になるのか、というところまで考えないといけない段階に入っているんだと思います。
私はAIを、人間の代わりにしたいとは思いません。
でも、人間に言う前の一歩として使われることまで否定する必要もないと思っています。
むしろ大切なのは、AIとの会話だけで閉じない仕組みをどう作るかです。
「これは一人で抱えない方がいい」と思ったときに、親、先生、学校、塾、その他の相談先へ移れる。その選択肢が本人の中にあることの方が大切です。
AIには言える。でも、人には言えない
今回の調査を見て、いちばん考えさせられたのはこの状態です。
AIには言えるのに、大人には言えない。
もしそういう子が増えているのだとしたら、「AIに相談するな」と言う前に、私たち大人の側も考えないといけないと思います。
子どもが何か話したとき、すぐ否定していないか。正論を返しすぎていないか。「そんなこと気にするな」で終わらせていないか。相談したことで話が必要以上に大きくなる、と思わせていないか。
AIが相談しやすい理由の一つは、たぶん「とりあえず最後まで聞いてくれる」ことです。
そこは、人間も負けてはいけないところだと思います。
AIを子どもから遠ざけるだけではなく、AIよりも話したくなる大人でいられるか。
塾長という立場でも、これはかなり大事にしたいと思っています。
AIの使い方を教えることと同じくらい、「何かあったら人にも言っていい」と思える関係を作っておくこと。
これからの教育現場では、その両方が必要になりそうです。



